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eBay輸出

eBay輸出は儲からない?3万円売れて手元に残るのは6,692円

理由を10個並べる前に、1件いくら残るかを数えました。実効手数料は13%ではなく17〜21%です

最終更新 2026.09.04書いた人:箱らぼ運営(現役セラー)
水彩の筆ストロークとコインがこぼれる袋、eBay輸出は儲からない?の題字入りアイキャッチ

「eBay輸出は儲からない」という声の多くは、実は同じ場所でお金を失っています。売る前の計算に入っていなかったコスト——つまり利益は売れたあとに消えるのではなく、値付けの時点でもう消えているケースがほとんどです。

うちはeBay輸出を本業の柱にしていて、自分の取引の利益計算を1円単位で合わせにいく作業を長くやってきました。この記事では、その過程で特定した「利益が消える場所」を、想像ではなく実額で数えます。

まず結論:頭の中の利益と、入金の利益

具体例で見ます。仕入れ¥12,000の商品を$200で売り、送料実費¥3,000とします。

よくある頭の中の計算: 「eBay手数料は13%くらいだから…… $200×153円=¥30,600。手数料¥3,978と送料と仕入れを引いて、利益¥11,622

実際の入金ベース

項目金額
売上($200 × 着金153円)¥30,600
eBay販売手数料(約15.5%)−¥4,743
海外決済手数料(約1.35%)−¥413
決済サービス受取(約2%)−¥612
米国DDP関税(12.5%+処理手数料2.1%)−¥3,905
国際送料実費−¥3,000
仕入れ−¥12,000
手元に残る¥5,927

¥11,622のつもりが、¥5,927。5割近くが消えています。 商品が悪かったわけでも、安く売りすぎたわけでもない。計算に入っていなかった行が4つあっただけです。

【2026年9月12日 訂正】 この表のeBay販売手数料は当初「約13%」で計算していましたが、直近の実注文(totalMarketplaceFee÷売上)をカテゴリ横断・発送先横断(米国内/南アフリカ/クウェート)で実測したところ、服・シューズ・ゲーム・雑貨など大半のカテゴリで15.36〜15.68%に収束していました(発送先が違っても同じ帯=国際手数料の上乗せではなく素の手数料と判断)。表と本文の数値を実測値に更新しています。唯一の例外は$150超の認証対象スニーカーで実測9.02%(別枠の優遇料率)。

以下、この差分がどこから来るのか、7つの場所を順に見ます。

場所1:eBayの手数料は何パーセント? —「13%」だと思っている

eBayの販売手数料(Final Value Fee)はカテゴリとストア契約で変わります。「12〜15%くらい」というざっくりした理解で止まっている人が多いですが、2026年9月に実注文で測り直したところ、服・シューズ・ゲーム・雑貨など大半のカテゴリで15.5%前後でした($150超の認証対象スニーカーだけ約9%という別枠あり)。ジュエリー・カメラ・ギター・コインなど一部の専門カテゴリはこれより低い料率が残っている可能性がありますが、そこは未検証です。

問題はその下です。手数料は1種類ではありません。 うちの実測ベースで、売上に乗ってくるものを一覧にするとこうなります。

手数料の種類目安課金ベース
eBay販売手数料(FVF)約15.5%($150超の認証対象スニーカーは約9%)商品価格+送料の総額
海外決済手数料約1.35%総額
売上金の受け取り(Payoneer等)約2%受取額
米国DDP関税+処理手数料12.5%+その2.1%商品価格のみ(送料は非課税)
広告(Promoted Listings)使えばその分落札額
出品手数料無料枠を超えた分1出品ごと

ここで見落とされがちなのが、FVFは送料込みの総額に課金されるという点です。「送料に寄せれば手数料が減る」という俗説がありますが、これは誤りです。売価と送料の配分で動くのは関税だけで、手数料は動きません。

海外決済手数料、売上金の受け取り(Payoneer等)、米国向けの関税処理、そして広告(Promoted Listings)を使っていればその分。うちは自分の利益計算を、実際の入金額と一致するまで調整する作業をやったことがあります。FVFが実測15.5%前後と分かった今、これに海外決済(1.35%)と受取(2%)を単純合算するだけで約19%、広告を使えばさらに乗ります。カテゴリや広告の有無で振れるので断定はしませんが、見積もりには22%を使っています。「13%」のつもりと実際の差は、上の例で言えば¥3,700超(FVF分の¥765+見積もり全体のズレ)。薄利の商品なら、この差だけで利益が消えます。

直し方:手数料は「13%」ではなく「22%」で見積もる。それで成り立たない商品は最初から仕入れない。

場所2:米国DDP関税が計算に入っていない

2025年10月から、米国向けの低額輸入は関税をセラーが負担するDDP方式が標準になりました。うちはCPaSSの請求明細を1件ずつ分解して実測しています。内訳は商品価格の12.5%(2026年7月24日からの新税率・率は品目で変わる)+関税額の2.1%の処理手数料、Economy発送はさらに輸入通関手数料¥245/個。よく言われる「1件$8.5の固定費」は、実際の明細には存在しませんでした。

上の例では、この行だけで¥3,905。7つの場所のなかで単独最大です。2025年より前の感覚で値付けしている人は、ここが丸ごと抜けています。

直し方:米国向け価格には関税を織り込む。米国比率が低い配送設定の商品は分けて考える。そしてもう一歩踏み込むなら、売価と送料の配分を設計する——関税は商品価格に課されるので、送料を適正に受け取る設定にするだけで課税ベースを圧縮できます。ここは効果が大きいので送料設計の記事として独立させました。

場所3:為替レートの「目減り」を無視している

為替は3ヶ所でズレます。①ニュースで見るスポットレートと、②実際に着金するレートには、受け取りサービスの為替手数料分の差(うちの実測でだいたい2〜3円)がある。そして③値付けした日と着金する日でもレートは動きます。

$200の取引でスポット156円で計算し、着金153円だったら、それだけで¥600。月50件売る人なら月¥30,000が「なんとなく」消えます

直し方:利益計算のレートは「スポット−3円」の着金ベースに固定する。

場所4:送料設定が古いまま放置されている

出品時に設定した送料と、いま実際にかかる送料はズレていきます。燃料サーチャージ、料金改定、そして「送料無料に変えたのに、利益計算では昔の受取送料を前提にしたまま」という逆パターンも。うちで実際にあったのは、システム上は買い手から$12受け取る前提の商品が、実物の出品では送料無料になっていた、というものです。表示上の利益率と実際の利益率が10ポイント以上ズレていました。

直し方:送料は「設定した値」ではなく「いまの実費」で定期的に引き直す。値付けを見直すときは必ず送料もセットで。

場所5:相場だけ見て、回転を見ていない

$50で売れる商品でも、3日で売れる$50と300日かかる$50は別物です。300日の間、その資金は棚で寝ています。回転を見ずに相場だけで仕入れると、帳簿上は利益が出ているのに手元の資金が増えない——「儲かっているのに苦しい」状態になります。

このあたりは売れるまでの日数の読み方相場の読み方(中央値とIQR法)に分けて書きました。

直し方:仕入れ判断は「相場 × 回転」のセットで。回転が読めない商品は保留。

場所6:売れた数だけ見て、ライバルの数を見ていない

「月5個売れている商品」を見つけても、その商品を出品しているセラーが38人いたら、あなたの取り分は期待値で月0.13個です。逆に月2個でも競合3人なら0.67個。需要(売れた数)を供給(出品者数)で割らないと、自分に回ってくる数は分かりません

Soldの件数だけ見て仕入れると、「売れているはずなのに自分のは売れない」が起きます。売れているのは市場であって、あなたの出品ではないからです。

そして人数を数えるだけでも、まだ足りません。日本発の出品を18キーワード実測して分かったのですが、セラーの人数が少ない市場には2種類あります。

Needlesのトラックパンツは、日本発2,303件の上位200件を17人で分けていました。少ないので詰まって見えます。でも中を見たら、200件のうち147件が同じ1アカウントでした。残りを16人で分けている形です。その商品のSoldは70件しかなく、要するに売れない在庫が積み上がって検索結果を埋めていただけでした。

逆にContax T2は、465件しかないのに149人が出していて、最大でも1人4件。価格の中央値は$1,215です。誰も積めないほど仕入れが難しいので、全員が数点ずつ持ち寄る形になり、希少性が単価になっています。

【2026年9月4日 訂正・2026年9月11日再訂正】 ここで「占有率が高いのは、その商品が誰でも仕入れられるから」と書いていましたが、その後Terapeakで実際の販売実績を測ったところ、占有率と売れ行きに関係がありませんでした。占有率73.5%と最も積まれていたNeedlesトラックパンツは、実際のSoldは月4個程度(2026年9月10日再実測)。逆に占有率14.9%と低かったDescente Allterrainは90日で1件も売れていません。占有率が低い理由には「希少で誰も積めない」と「誰も欲しがらない」の2つがあり、出品側の数字では区別できません。(※初回訂正時の「占有率39.5%・55人が販売」という数値は、絞り込みなしの「Needles」検索がキーワード汚染を含んでいたため撤回します)

直し方:Soldの件数だけで判断しないこと自体は変わりませんが、判定はTerapeakの販売率で行ってください。Seller Hub → Research で商品名を検索し、Seller CountryをJapan、Conditionで中古を選び、Soldタブの Sell-through と Total sellers を見ます。ストア契約があれば追加費用はかかりません。125品目の実測は販売率を実測したら服が一番弱かったにまとめました。

場所7:消費税還付を勘違いしている

輸出売上は消費税が免税になるため、課税事業者なら仕入れにかかった消費税の還付を受けられます。仕入れ¥12,000(税込)なら約¥1,091。上の例に足すと利益は¥5,798まで戻ります。

ただし勘違いが2方向あります。申請していないのに還付込みで利益計算している人と、還付を受けられるのに存在自体を知らない人。前者は利益を1割弱過大に見積もり続け、後者は取れるお金を毎年置き去りにしています。還付には輸出許可等の証憑と適切な記帳が前提です(このへんの実務は税務対応の記事で書きました)。

直し方:自分が課税事業者か、申請しているかをまず確認。計算に入れるのは、実際に受け取れる場合だけ。

まとめ:儲からない原因は、才能でも根性でもなく「行の抜け」

7つを並べると分かりますが、どれも派手な失敗ではありません。計算式から行が抜けているだけです。そして抜けた行は、売れたあとの入金額で初めて姿を現す——だから「売れているのに儲からない」という感覚になります。

やることはシンプルです。

  • 手数料は22%前後で見積もる(13%ではなく)
  • 米国向けは関税12.5%+処理手数料2.1%(Economyは+¥245/個)を織り込む(2026年7月24日からの新税率・実測値)
  • 為替は着金ベース(スポット−3円)で計算する
  • 送料は「いまの実費」で定期的に引き直す
  • 仕入れ判断は相場×回転×競合の3点セット
  • 還付は「実際に受け取れる場合だけ」計算に入れる

この計算を仕入れ前に1商品ずつやるのは大変なので、うちは自分用の道具に組み込んで自動化しています。ただ、道具の前にまず式そのものを頭に入れること。式が間違っていたら、どんな道具を使っても答えは間違います。

この計算を、仕入れ判断の画面でやる

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