【2026年9月4日 訂正・2026年9月11日再訂正】 この記事は「占有率を見れば売れるかどうかが分かる」という前提で書いていますが、その後eBay公式のTerapeakで実際の販売実績を測ったところ、占有率と売れ行きに関係がありませんでした。占有率73.5%と最も積まれていたNeedlesトラックパンツは、実際のSoldは月4個程度(2026年9月10日再実測)。逆に占有率14.9%と低かったDescente Allterrainは90日で1件も売れていません。占有率が低い理由には「希少で誰も積めない」と「誰も欲しがらない」の2つがあり、出品側の数字では区別できません。(※初回訂正時の「占有率39.5%・55人が販売」という数値は、絞り込みなしの「Needles」検索がキーワード汚染(裁縫針・レコード針等の一般名詞との混同)を含んでいたため撤回します。詳しくは実測記事の訂正を参照) 以下の数え方は競合の詰まり具合を知るには有効ですが、そこから売れ行きは読めません。
出品したのに売れない。この話、本当によく聞きます。
自分も最初はそうでした。相場を調べて、ちゃんと安く仕入れて、写真も撮って出した。なのに動かない。何が悪いんだろう、とずっと考えていました。
先日たまたま、日本発の出品を数えていて理由が見えました。同じ商品を何人が出しているかを数えたら、はっきり分かれたんです。
先に結論
誰でも仕入れられる商品は、すでに誰かが大量に積んでいます。
そして積まれている商品は、出しても埋もれます。相場でも写真でもなく、そこが原因のことがあります。
先に断っておくと、これ自体は新しい話ではありません。仕入れが簡単なものは値段の殴り合いになる、というのは物販の基本です。やっている人なら誰でも知っています。
新しいのは、それが検索結果の中でどう見えているかを数えたことだけです。当たり前だと思っていたことが、思っていたより極端な形で出ていました。
18キーワードを数えてみた
eBay公式のAPIで、日本所在の出品を上位200件ずつ取って、何人のセラーが出しているかを数えました。2026年9月3日の実測です。
見てほしいのは右端、上位200件のうち最大の1人が何件持っているかです。
| キーワード | 出品数 | セラー数 | 最大1人 | 占有率 | 価格中央値 |
|---|---|---|---|---|---|
| Needles トラックパンツ | 2,303 | 17 | 147 | 73.5% | $359 |
| Pokemon card Japanese | 654,835 | 23 | 144 | 72.0% | $10 |
| Wacko Maria | 3,894 | 27 | 139 | 69.5% | $216 |
| Kapital | 10,367 | 59 | 67 | 33.5% | $266 |
| Sun Surf | 3,681 | 26 | 66 | 33.0% | $193 |
| HOMME PLISSÉ | 2,812 | 42 | 52 | 26.0% | $452 |
| Yohji Yamamoto | 13,359 | 55 | 51 | 25.5% | $247 |
| CDGシャツ | 8,690 | 36 | 47 | 23.5% | $195 |
| visvim | 5,566 | 59 | 47 | 23.5% | $259 |
| スカジャン | 5,068 | 61 | 42 | 21.0% | $170 |
| セルビッジデニム | 3,891 | 49 | 41 | 20.5% | $161 |
| Issey Miyake | 37,069 | 72 | 39 | 19.5% | $215 |
| ファミコン | 102,089 | 84 | 22 | 11.0% | $54 |
| Evisu | 2,418 | 77 | 16 | 8.0% | $210 |
| たまごっち | 47,593 | 119 | 15 | 7.5% | $62 |
| Canon AE-1 | 3,053 | 122 | 9 | 4.5% | $160 |
| Nikon F3 | 2,587 | 149 | 5 | 2.5% | $480 |
| Contax T2 | 465 | 149 | 4 | 2.0% | $1,215 |
上と下で、まるで別の世界です。
セラー数だけ見て、まんまと間違えました
この表を作る前、Needlesの17人という数字だけを見て、寡占市場だと決めつけていました。
でも中を見たら、200件のうち147件が同じ1アカウントでした。残り199件を16人で分けている形です。3回測り直しても同じでした。
そのアカウント、Needles関連で587件出しているのにフィードバックは11件。長くやっている強い業者ではなく、最近まとめて並べ始めた人に見えます。
そして売れ行きを見たら、答えが出ました。Needlesトラックパンツは日本発のSoldが70件(2026年7月17日実測)。出品2,303件に対して3.0%です。
つまり「業者が固めていて入れない市場」ではなく、売れない在庫が積み上がって表示を埋めているだけでした。
セラー数だけだと、この2つを取り違えます。人数と一緒に、最大の1人が何件持っているかを必ず見てください。
逆側がもっと面白い
表のいちばん下、Contax T2です。
465件しかないのに、149人が出しています。最大でも4件。 そして価格中央値が$1,215で、この18個の中でいちばん高い。
Nikon F3も同じ形です。2,587件を149人、最大5件、$480。
出品数はNeedlesより少ないのに、人数は9倍。なぜこうなるのか。
誰も積めないからです。 積めるほど手に入らない。だから全員が1〜4点ずつ持ち寄る形になり、希少性がそのまま単価になります。
数字が映していたのは、仕入れの難易度でした
ここが今回いちばん腑に落ちたところです。
占有率が高い=強い業者がいる、ではありませんでした。占有率が高い=その商品は誰でも仕入れられる、です。
- 誰でも手に入る → 誰かが積む → 検索結果が埋まる → 出しても売れない
- 手に入りにくい → 誰も積めない → 全員が数点ずつ → 単価が上がる
同じことを逆から言うと、セラー数と占有率は、その商品の仕入れ難易度を映した鏡です。市場の性質を見ているつもりで、実は仕入れの難しさを見ていた。
ただし、条件がもうひとつありました
「仕入れやすければ積まれる」だけだと、説明できないものが表にあります。
たまごっち(47,593件・119人・最大15件・$62)とファミコン(102,089件・84人・最大22件・$54)。どちらも繰り返し手に入るのに、誰も積んでいません。
たぶん単価が安すぎて、積む意味がないんだと思います。1点$54のものを150点抱えても、動かなければ場所を取るだけなので。
なので正確には、掛け算です。
同じものが繰り返し仕入れられる × 積む価値がある単価 → 誰かが積む → 表示が埋まる
Needles($359)、Wacko Maria($216)、ポケカ(1枚は安いが枚数が出る)は、この両方を満たしていました。
で、どうするか
数字を見て市場を選ぶのは、順番が逆だと思っています。
先に自分の仕入れ導線があって、その中で占有率が低いものを選ぶ。 これが現実的なはずです。
占有率が低いということは、他の人も安定して仕入れられていないということです。裏返せば、そこは仕入れ力がそのまま差になる場所です。逆に占有率が高い商品は、仕入れが得意でもその強みが効きません。誰でも手に入るので。
自分の場合、店舗も回るしフリマも複数見ています。その導線で拾えるものの中から、まだ誰も積んでいないものを探す。地味ですが、これがいちばん確実でした。
「売れる商品リスト」が出回っても効かないのは、たぶんこれが理由です。リストが配られた時点で、それは誰でも仕入れられる商品になります。
AmazonでもメルカリでもTop構造は同じはずです
ここはeBayしか数えていないので推測になりますが、たぶん場所を変えても同じことが起きています。
Amazonはもっと露骨だと思います。カタログに相乗りできるので、同じ商品を全員が売れる。しかも出品者数がページに出ています。今回eBayでわざわざ数えた「何人がこの商品を売っているか」が、最初から見えている状態です。相乗りが増えれば値下げ合戦になって、最後は誰も残らない。
メルカリも、商品名で検索すれば同じものが何件並んでいるか一目で分かります。1点物が多いぶん形は違いますが、仕入れやすいものほど画面が埋まるのは同じです。
副業で物販を始める人が踏む順番も、たぶんここに関係しています。
- 「これが売れる」という情報を手に入れる
- その通りに仕入れて出す
- 同じ情報を見た人が、同じものを出している
- 値下げ合戦になる
- 物販は儲からない、と結論する
情報が配られた時点で、その商品は誰でも仕入れられる商品になります。 リストの中身が良いか悪いかとは別の問題です。
自分で数える手順
特別なツールは要りません。eBayの検索でこうします。
- 商品名で検索して、絞り込みで Located in Japan を選ぶ
- 出てきた件数を見る(市場の大きさ)
- 上から50件くらい、出品者名を眺める
- 同じ名前が半分以上出てきたら、そこは積まれています
3番が肝です。件数を見て終わりにすると、今回の自分と同じ間違いをします。
もっと正確にやるならAPIで数えることになりますが、目視でも傾向は十分つかめます。上位が同じ名前で埋まっているかどうかは、スクロールすればすぐ分かるので。
注意点を3つ
占有率はその日のスナップショットです。 1人が大量出品をやめれば翌週には変わります。定点で見るものではなく、仕入れ判断の直前に確認するものだと思ってください。
Sold件数との比較は目安です。 この記事のSoldは2026年7月17日、出品数は9月3日の実測で、48日離れています。割り算した数値を厳密な回転率とは呼べません。方向として読んでください。
日本発だけを見ています。 海外セラーが持っている在庫は数えていないので、海外での競合状況までは分かりません。
まとめ
言っていることは物販の基本です。仕入れが簡単なものは儲からない。それだけです。
ただ、出品しても売れないとき、値段や写真を直す前に確認してほしいことがあります。その商品、すでに誰かが積んでいませんか。
上位が同じ出品者で埋まっていたら、それは仕入れが簡単すぎる商品です。安く仕入れても、同じことを他の誰かができます。
反対に、みんなが数点ずつしか持っていない商品は、仕入れが難しい商品です。そこは探せる人が勝てます。
なお、仕入れが簡単な商品を選んでしまうと、売れたとしても値段の殴り合いになります。手数料や関税を引いたあとに1件いくら残るのかは、3万円売れて手元に残るのは6,692円で実額を出しました。あわせて見ると、選び方と手残りが地続きになると思います。
数字はあくまで入口で、答えは自分の仕入れ導線の側にあります。ジャンル別の実測はeBay輸出で売れるものは?275キーワードの実測ランキングにまとめているので、あわせて見てみてください。
