結論から言うと、2026年10月13日から、Video Game Consoles(ゲーム機本体)カテゴリの商品仕様(Item Specifics)に「FCC ID」を入れていないと、その出品が米国のバイヤーの検索・閲覧画面から消えるかもしれません。
eBayから届いた通知はWi-FiやBluetoothなど電波を出す機器(RFデバイス)全般が対象のように読めます。ですが実際にeBayのカテゴリ仕様API(GetItemAspectsForCategory)を自分で叩いて確認したところ、2026年10月8日時点で「FCC ID」の入力欄が実装されていたのはゲーム機のカテゴリだけでした。Bluetooth搭載の腕時計・ポータブルオーディオ・カーオーディオのカテゴリには、まだその欄自体が存在していません(詳細は後述)。
一読して、発送や通関の話かと思いました。調べてみると、違いました。
これは発送時の話ではありません。出品データの中の話です。
Item specifics(商品仕様)の中に「FCC ID」という欄があって、そこに正しいFCC IDを入れないと、その出品が米国のバイヤーの検索・閲覧画面から非表示になる、というだけの仕組みです。発送業者や税関が何かを求めてくるわけではないし、出品自体が消えたり終了になったりもしません。
結論から
| 何が起きるか | 対象 |
|---|---|
| 米国のバイヤーから非表示になる可能性 | FCC ID未入力の対象商品 |
| 2026年10月8日時点で実際に入力欄があるのは | Video Game Consolesカテゴリのみ(腕時計・カーオーディオ等はまだ欄自体が無い) |
| 米国以外(イギリス・EU・オーストラリアなど) | 影響なし。今まで通り見える・買える |
| 出品そのもの | 消えない・終了にもならない |
| 発送・通関 | 無関係 |
対象は「電波を意図的に送信する機器」だけです。ゲーム機の本体はほぼ全部該当しますが、ゲームのソフト(カートリッジ・ディスク)は電波を出さないので対象外です。ここを混同すると、調べる範囲が無駄に広がります。
対象になる機器・ならない機器
うちの出品(中古・輸出中心)で実際に当てはめてみた例です。
| 商品 | 対象か | 理由 |
|---|---|---|
| Nintendo 3DS / 3DS XL 本体 | 対象 | Wi-Fi内蔵 |
| PS Vita 本体 | 対象 | Wi-Fi内蔵 |
| Bluetooth搭載の腕時計(G-SHOCK等) | 対象 | Bluetooth |
| Bluetooth搭載のポータブルオーディオ | 対象 | Bluetooth/Wi-Fi |
| Bluetooth搭載のカーステレオ | 対象 | Bluetooth |
| ゲームソフト(カートリッジ・ディスクのみ) | 対象外 | 電波を出さない |
| 機械式・ソーラーのみの腕時計 | 対象外 | 無線機能なし |
| バッグ・財布・アパレル・トレカ | 対象外 | 無線機能なし |
判断に迷うものもあります。GPS時計(電波の受信のみ)や、近距離無線の可能性があるキャラクター玩具は、素人判断で「対象外」と決めつけず、実機かメーカー資料で確認したほうがいいです。
中古だから対象外、ではない
これが一番引っかかった点です。
FCCの規則そのものには、中古品や小規模セラーへの適用除外があります。ただしこれは、マーケットプレイス側(eBay自身)の表示義務に関する話です。eBayのセラー向けページ(eBay Seller Center — FCC ID requirements)には、「中古品だから入力しなくていい」という記載は見当たりませんでした。
「うちは中古しか扱ってないから関係ない」と決めつけるのは危険です。
本当に「Item Specifics」の項目なのか、自分で確認した
メールやページの文面を鵜呑みにせず、eBayのカテゴリ仕様API(GetItemAspectsForCategory)で直接確認しました。「Video Game Consoles」カテゴリ(139971)には、実際にこう定義されています。
名前: FCC ID
データ型: 文字列(自由入力)
必須: false
扱い: OPTIONAL(任意項目)
実在する項目で、場所もメールの案内通りでした。ただし今のところ、入力しなくても出品の作成・編集自体はブロックされません。10/13からの非表示処置は、この入力チェックとは別の仕組み(検索結果の表示制御)で動くと考えられます。
カテゴリによって「入力欄」の有無がバラバラだった(2026/10/8時点)
ここまでは「FCC IDという項目が存在するか」を確認しましたが、実際にそれがどのカテゴリに実装されているかは別の話です。複数のカテゴリでGetItemAspectsForCategoryを叩いて比較したところ、項目の有無がカテゴリによってバラバラでした。
| カテゴリ | FCC ID項目 |
|---|---|
| Video Game Consoles(ゲーム機本体) | 存在する(任意項目) |
| Wristwatches(腕時計) | 存在しない |
| Mice, Trackballs & Touchpads(マウス) | 存在しない |
| iPods & MP3 Players(ポータブルオーディオ) | 存在しない |
| Car Audio In-Dash Units(カーオーディオ) | 存在しない |
つまり2026年10月8日時点では、ゲーム機本体のカテゴリにしか「FCC ID」の入力欄自体が実装されていません。Bluetooth搭載の腕時計やポータブルオーディオ、カーオーディオを扱っていても、現状は入力する欄そのものがなく、入力しようがない状態です。
10/13の施行後に他のカテゴリにも欄が追加されるのか、欄が増えないまま別の仕組み(カテゴリに関係なく商品データのBluetooth等の記載を見て判定する、など)で非表示処置が動くのかは、現時点では分かりません。施行日をまたいだあとに、同じ方法(カテゴリ仕様APIを個別のカテゴリIDで叩く)で再確認する必要があります。
実際に調べてみた
該当しそうな自社出品のFCC IDを、FCCの公式データベース(fcc.govのミラーサイト経由)で調べました。製品コードが型番と直結しているものは、わりとすぐ見つかります。
| 商品 | FCC ID | 見つけ方 |
|---|---|---|
| Nintendo 3DS 本体(CTR-001) | EW4DWMW028 | 内蔵Wi-FiモジュールのID |
| Nintendo 3DS XL/LL 本体(SPR-001) | EW4DWMW028 | 同じWi-Fiモジュールを使用 |
| PS Vita PCH-2000 本体 | AK8PCH2001 | 製品コード「PCH2001」が型番と一致 |
| Sony Walkman NW-A45(A40シリーズ) | AK8NWA40 | 製品コード「NWA40」が型番と一致 |
| Sony Walkman NW-A100 / NW-A105 | AK8NWA100 | 製品コード「NWA100」が型番と一致 |
同じ機種でも色違い・容量違いなら使い回せますが、Bluetoothの有無など中身が変わる別モデル(例: New 3DSと無印3DS)では、別のFCC IDになっている可能性があります。「似た製品」のIDを流用しないよう、eBay自身も注意書きを出しています。
見つからなかったもの
一方で、日本国内専用モデルは、FCCのデータベースに出てきませんでした。
Pioneerのカーステレオ(Carrozzeria DEH-970)を調べたところ、同じメーカーの米国向けモデル(DEH-7350BT等)のIDは出てくるのに、DEH-970自体は1件も出てきません。
これは、そもそも米国で販売するための認証を取っていない製品だからだと考えられます。日本国内でしか売っていない製品は、米国FCCの認証コストをかける理由がないので、これは珍しいことではありません。
この場合、正しいFCC IDは存在しないので、入力のしようがありません。10/13以降、こういう商品は米国向けには実質的に売れなくなる可能性があります。
見つからないときにやったこと
- FCCの公式データベースを型番で検索する。製品コードが型番と直結していれば、わりとすぐ見つかります(PS Vita・Walkmanはこれで見つかりました)。
- 実機の裏側を見る。Casioの時計は、裏蓋にFCC/IC番号を刻印する慣習があります。検索よりこちらが早いことが多いです。
- 日本仕様機には印字が無いことがある。日本国内向けの製品は、米国FCCではなく日本の技適マークで認証されているため、本体にFCC IDの印字自体が無いのが普通です。この場合、中の無線部品(チップ)が海外向けモデルと共通なら、その部品のIDを使えることもあります(確証が持てない場合は、メーカーや部品名での検索に切り替えるしかありません)。
まとめ
- FCC IDが無いと起きるのは「米国のバイヤーから非表示」。発送や通関とは無関係で、出品自体も消えません。
- 対象は「電波を出す機器の本体」だけ。ゲームソフトや無線機能のない商品は関係ありません。
- 「中古だから対象外」という記載は、eBay自身のページには見当たりませんでした。
- 型番から製品コードが推測できる機種(Nintendo・Sony系)は、FCCデータベースで比較的見つけやすいです。
- ただし2026年10月8日時点では、「FCC ID」の入力欄自体がeBayに実装されているのはゲーム機本体のカテゴリだけでした。腕時計・ポータブルオーディオ・カーオーディオのカテゴリにはまだ入力欄がなく、10/13の施行後にどう変わるかは未確認です。該当カテゴリを扱っているなら、施行日をまたいだあとに同じ方法で再確認したほうがいいです。
- 日本国内専用モデルは、そもそも米国の認証が存在しない場合があります。この場合は入力しようがなく、該当商品は米国向け販売を諦めるか、対象から外すしかなさそうです。
ここに書いた内容は、eBayから届いた通知と、eBay Seller Centerの案内ページ、FCCの公開データベース、eBayのカテゴリ仕様APIを自分で叩いた結果を元にしています。施行は2026年10月13日からなので、該当しそうな出品があれば早めに確認したほうがいいです。
