eBayから通知が来ました。2026年10月1日から、日本からEUへ送る出品で、商品価格が150ユーロ以下のものはDDP(関税をセラーが先に払う方式)でないと送れません。
読んだときは、また送料の話かとしか思いませんでした。調べていくうちに、そんな軽い話ではないと分かりました。
引っかかったのはここです。
今まで使っていた国際エアパケットでは、EU向けのDDPができません。
日本郵便がDDPの仕組みを用意したのは米国宛てだけで、EU向けは今のところありません。つまり「エアパケットで安く送っていた150ユーロ以下の商品」は、10月から送る手段が実質なくなります。
いくらから対象外か
先に結論です。
| 商品価格(送料は除く) | どうなるか |
|---|---|
| $200以上 | 今まで通り。何もしなくていい |
| $100〜200 | 送れるけど、利益が3〜4割持っていかれる |
| $100未満 | やめたほうがいい |
$200という数字は、150ユーロを為替の余裕込みでドルに直したものです。計算は後ろに書きます。
発送手段ごとの対応
eBayがDDP対応として案内しているものと、そうでないものを並べます。
| 発送手段 | EU向けDDP | 150ユーロ超のとき | 備考 |
|---|---|---|---|
| SpeedPAK - Ship via FedEx | 対応(必須) | DDPかDDUを選べる | 2026/6/26以降のCPaSSラベル作成分から |
| SpeedPAK - Ship via DHL | 対応(必須) | DDPかDDUを選べる | 同上 |
| SpeedPAK - FedEx @ International Connect Plus | 対応(必須) | DDPかDDUを選べる | 同上 |
| SpeedPAK Economy | 対応(必須) | そもそも使えない | 2026/6/22以降。150ユーロ以下専用 |
| 国際エアパケット | 手段なし | 従来通り使える | 日本郵便のDDPは米国宛てのみ |
| EMS | 手段なし | 従来通り使える | 同上 |
| 小形包装物 | 手段なし | 従来通り使える | 同上 |
| FedEx・DHLの直接契約 | 要確認 | — | DDPは条件として選べるはず。eBay側の扱いは各自で確認を |
eBayのポリシー本文には、対応キャリアの名前が一切書かれていません。上の表でSpeedPAKに丸をつけているのは、eBayがEU向けDDPの案内ページでDDP対応として挙げているのがこの4つだからです。日本郵便に丸がつかないのは、日本郵便自身がEU向けDDPを出していないからです。
日本郵便のDDPは、Zonosという事業者のアプリを通して米国税関に前払いする方式で、2026年4月14日から始まっています。対象は米国宛てだけ。EU向けの告知は見当たりませんでした。
何が起きたのか
2026年7月1日から、EUは域外から直送される150ユーロ以下の小口貨物への免税をやめました。HSコードごとに一律3ユーロです。2028年7月1日までの暫定措置だそうです。
問題は、この3ユーロを誰が払うか。着払いにするとバイヤーが受け取り時に払うことになって、聞いてないという話になります。それを避けたいeBayが、10月1日から日本と韓国発のEU向けで、商品価格150ユーロ以下はDDPにしろと決めました。送料は判定に入りません。
守らなかった場合の書き方が、なかなか強めです。
DDP通関を使わずにバイヤーとトラブルが発生した場合、セラーの責任で解決すること。トラブルが原因でアカウントに出品制限がかかる可能性がある。
アメリカ以外の扱い
「関税をセラーが払うのはアメリカだけ」という前提が、10月で崩れます。今の状況を並べるとこうです。
| 送り先 | 関税を誰が払うか | いつから |
|---|---|---|
| アメリカ | セラー(DDP) | 2025年10月17日 |
| EU加盟27カ国 | セラー(DDP)※150ユーロ以下 | 2026年10月1日 |
| イギリス | 買い手(DDU) | 変更なし |
| オーストラリア | 買い手(DDU) | 変更なし |
| カナダ・アジア各国 | 買い手(DDU) | 変更なし |
イギリスはEU離脱済みなので、ドイツやフランスと同じ扱いにはなりません。ここを混同すると、EUを外したついでにイギリスまで止めてしまいます。実際うちも、配送ポリシーをいじるときに危うくやりかけました。
セラー側の設定
DDPのオンオフを切り替えるスイッチは、eBayの管理画面にありません。どの配送サービスを選ぶかが、そのままDDPかどうかを決めます。
やることは配送ポリシーの見直しだけです。150ユーロ以下のEU向けをSpeedPAKに寄せるか、EUを配送先から外すか。米国向けと違って、金額の計算をセラーが自分でやる場面もありません。関税分はSpeedPAKの請求に乗ってきます。
150ユーロは今いくらか
2026年9月1日のECBレートで計算します。USD/JPY 160.16、EUR/JPY 185.63。
1ユーロが約1.159ドルなので、150ユーロは約174ドル。日本円で約27,800円です。
ここで$174ちょうどを境界にすると、たぶん事故ります。ユーロが強くなると、同じ$174が150ユーロを割ってDDP対象に落ちるからです。
| EUR/USD | 150ユーロ相当 |
|---|---|
| 1.16(今) | $174 |
| 1.20 | $180 |
| 1.25 | $188 |
| 1.30 | $195 |
なので$200を目安にしています。$174から$200のあいだは、為替次第でどちらにも転ぶグレーゾーンです。ここに商品を置くのは避けたい。
1件あたりいくら増えるか
150ユーロ以下をSpeedPAKで送ると、こうなります。
| 何が増えるか | いくら |
|---|---|
| 送料の差(エアパケット$12 → SpeedPAK Economy$20) | +$8 |
| EU関税 3ユーロ | +約$3.5 |
| 合計 | 約$11.5(約1,840円) |
さらに国によっては手数料が乗ります。3ユーロとは別枠です。
| 国 | いくら | いつから | 1件合計 |
|---|---|---|---|
| フランス | 2ユーロ(HSコードごと) | 2026年3月1日 | 約$13.8 |
| イタリア | 2ユーロ(1出荷につき) | 2026年7月1日 | 約$13.8 |
| ルーマニア | 約5ユーロ(25 RON) | 2026年1月1日 | 約$17.3 |
フランスはHSコードごとなので、種類の違うものを同梱するとその分増えていきます。
価格帯ごとの損益
粗利率30%で並べてみました。
| 商品価格 | 粗利 | DDPコストを引くと | |
|---|---|---|---|
| $30 | $9 | −$2.5 | 送るほど赤字 |
| $50 | $15 | $3.5 | ほぼ残らない |
| $100 | $30 | $18.5 | 4割減 |
| $150 | $45 | $33.5 | 25%減 |
| $200以上 | — | 影響なし | 対象外 |
$50を切ると、送るほど損をします。低単価でEUを狙い続ける理由は、10月以降ほぼないと思います。
うちでやった対応
$12の国際送料で全世界に出していた低価格帯の配送ポリシーから、EU27カ国を除外しました。イギリスとスイスとノルウェーはEU外なので、$12のまま残しています。
やってみて分かった落とし穴がひとつ。
eBayの配送ポリシーで「Europe」という地域ごと除外すると、イギリスやスイスまで一緒に消えます。EU27を1カ国ずつ指定して外してください。以前、US marketplaceでEU各国を個別指定しようとしてエラーで弾かれた記憶があったので身構えていたのですが、除外リスト側なら普通に通りました。
高単価帯のポリシーはいじっていません。$200以上ならDDPの対象外なので、エアパケットでもEMSでも今まで通りです。
悪い話ばかりでもない
SpeedPAKを設定した150ユーロ以下のEU向け出品には、7月1日から商品ページに「関税込み(includes import fees)」と表示されるようになりました。
バイヤーからすれば、受け取るときに追加請求が来ない保証です。コストは増えるけれど売れやすさは上がる、という交換になります。EUを続けるなら、ここは素直にプラスに働くはずです。
まとめ
期限は2026年10月1日、対象は日本発EU向けで商品価格150ユーロ以下(送料は別勘定)。
エアパケットとEMSではEU向けDDPができないので、実質SpeedPAKしか選択肢がありません。150ユーロは約$174ですが、為替を考えて$200を境界に置くのが安全です。$200以上なら何もしなくていいし、$100未満は素直にEUを外したほうがいいと思います。
数字の出どころは、eBayから届いたポリシー通知と、eBayのEU向けDDP案内、日本郵便の米国宛てDDP告知、ECBの為替レートです。金額の計算はこちらでやったものなので、動かす前にご自身の送料実費と粗利率で計算し直してください。うちの$12と$20という送料は、うちの商材と重量帯での話です。