【2026年9月4日 追記】 この記事は出品数とセラー数で書いていますが、その後Terapeakで実際の販売率を測ったところ、カメラは4カテゴリで最も効率の良い領域でした。販売率6.1〜16.9%で、1個売るのに必要な出品数は6〜16個(アパレルは66〜1,000個)。Contax T3は6.1個で1個$2,661です。ただし高額機ほど検品スキルが要る点は変わりません。実測は125品目の販売率を実測したら服が一番弱かったにあります。
前回の総覧で、eBay輸出の市場全体を出品数で地図にしました。シリーズ2本目はカメラです。
カメラは「日本発の鉄板ジャンル」とよく言われます。それは分かった。で、どの銘柄が、いくらで、どのくらいの競合と?
今回も数えました。日本所在のactive出品数に加えて、今回は検索上位200件を出しているセラーの人数と価格の中央値まで実測しています(2026年8月21日、eBay公式Browse API)。前回同様、これは供給側の数字で、売れた数ではありません。売れ行きは各表のリンク先(Sold検索)で確かめられます。
カルトコンパクトの値段の階段
まず、英語圏で銘柄指名で買われるフィルムコンパクトと定番SLRから。表のキーワードはeBayのSold検索(売れたもの・日本所在)に飛びます。
| 銘柄 | 日本発出品数 | 中央値 | 上位200件のセラー数 |
|---|---|---|---|
| Canon AE-1 | 3,258件 | $160 | 136人 |
| Nikon FM2 | 913件 | $440 | 131人 |
| Olympus mju ii | 439件 | $250 | 123人 |
| Konica Big Mini | 400件 | $165 | 149人 |
| Contax T2 | 480件 | $1,228 | 148人 |
| Yashica T4 | 122件 | $500 | 103人 |
| Fujifilm Natura | 129件 | $500 | 89人 |
| Ricoh GR1 | 74件 | $794 | 49人 |
| Minolta TC-1 | 71件 | $1,414 | 51人 |
| Contax T3 | 104件 | $3,330 | 74人 |
上位200件サンプルの中央値を安い順に並べると、AE-1の$160からT3の$3,330まで、きれいな階段になっています。入門はAE-1、目利きができるようになったらGR1やTC-1へ、という登り方がそのまま見える表です。
セラー数が教えてくれること
この表でいちばん見てほしいのは、実はセラー数の列です。
どの銘柄も、上位200件を100人前後のセラーが分け合っています。総覧の回で書いたとおり、ポケカは同じ数え方で27人。カメラは真逆で、個人セラーがひしめく分散市場です。大手の寡占がない代わりに、1人あたりの出品は数件ずつ。目利きと状態説明をきちんと積めば、個人でも入り込める余地が十分あります。
強いて言えばRicoh GR1(49人)とMinolta TC-1(51人)はやや人が少ない。玉数自体が少ないので、仕入れられる人だけが出せる棚になっています。
日本でしか売られなかったカメラ
Fujifilm Naturaは日本国内向けに販売されていたカメラで、海外での正規販売はほぼなかったモデルです。海外の買い手にとっては、日本発の出品が主な入手経路になります。129件で中央値$500。同じ構図のFujifilm Klasse(61件)も含めて、「日本でしか売っていなかったもの」はそれだけで商品説明が一行で済みます。
物量で見ると主戦場はレンズ
本体の話をしてきましたが、物量で見るとカメラ市場の主戦場はレンズです。
| キーワード | 日本発出品数 | 中央値 | セラー数 |
|---|---|---|---|
| Canon FD lens | 7,301件 | $130 | 121人 |
| Nikkor Ai-s | 7,195件 | $177 | 120人 |
| Super Takumar | 3,040件 | $121 | 90人 |
レンズは軽くて壊れにくく、送料で赤字になりにくい。$100〜180の中央値は仕入れと送料を引いても計算が立ちやすい帯です。タイトルの書き方には型があって、上位出品では「Exc+5」「Near MINT」「CLA'd(清掃・注油・調整済み)」のような状態表記が定番です。この表記があるかないかで単価が変わります。
中判(Pentax 67:2,442件・中央値$685、Mamiya RZ67:1,095件・$453)は単価の柱。重いので送料設計は必須ですが、1台の利幅が別格です。
周辺機器と消耗品という隙間
本体とレンズの影に、競合の少ない棚があります。
- Sekonic light meter(露出計): 597件・中央値$157。セコニックは海外でも指名買いされる国産露出計ブランド
- camera light seal(モルト張替材): 396件・$84。フィルム機の定番故障=遮光材の劣化を直すための消耗品で、リピートが利く珍しい枠
- Fujinon binoculars(フジノン双眼鏡): 39件・$530・セラー28人。船舶と天体の固定ファンがいる極小の空白
「English Menu」は売り文句でなく、無い方を先に明記する
コンパクトデジカメの出品タイトルを見ていくと、意外な傾向があります。「English Menu」と書かれた出品より、[No English Menu]と、無いことを先に角括弧で明記する出品の方が圧倒的に多いのです。SonyのCyber-shotやPanasonicのLUMIXのコンパクト機は、この表記がほぼデフォルトになっています。
日本国内専用モデルのコンパクト機は、そもそもメニュー言語を切り替えられない機種が大半です。「English OK」という売り文句を探すより先に、[No English Menu]という定型の免責表記が業界標準になっている、と捉えたほうが実態に近いです。例外的にNikon COOLPIXやCanon IXY、Fujifilm FinePixの一部モデルでは、出品タイトル上で「English Menu」と明記されるものがあります。
買う側にとっては、この一言が無いかどうかが実用性を左右します。売る側にとっては、メニュー言語を確認せずに「Japan」とだけ書いて出すと、後から返品・低評価の火種になりやすい項目です。
ジャンクを直せる人へ
前回も書きましたが、カメラはジャンク再生の腕がいちばん報われるジャンルのひとつです。Sony Handycamは3,332件・中央値$141で、テープ機は「Tested Working」表記が価値の中心。フィルム機ならモルト張替とファインダー清掃だけで見違えます。
注意点は2つ。動作確認は正直に書くこと(Film tested / As-is / Parts or not working の区別を曖昧にすると、返品と評価で返ってきます)。それとビデオカメラにリチウム電池が付属する場合は、機器同梱時の扱いと配送会社ごとの条件を確認してから出品してください。
この先のシリーズ
続きはトレカ編へ。ポケカ66万件の検索上位はわずか21セラーの寡占でした。総覧は市場地図の記事へ。
(開示:この実測データは箱らぼ運営者が自分のリサーチ用に作ったものです。カメラ以外も含む275キーワードのフル版一覧は、自作ツールSellerNaviの利用者特典として整備中です)
